7月3日からの大雨による熊本・鹿児島の災害に災害救助法が適用

令和2年7月3日からの大雨による災害は、これを書いている4日午後、今なお懸命な救助活動が続いているようです。一人でも多く、早く、ご無事に救助されることを願います。

熊本、鹿児島の人々が今直面し、これから起こるだろうことを想像すると、気が急いて、また、気分が重くなるような感覚になります。昨年の東日本台風(台風19号)のことを思い出しだし、何か役に立つことがあれば、長野からぜひ応援をしていきたいと思います。


【目次】


救助をあきらめないで!

東日本台風で、実際に救助を待つ方にこたえ、力にもなった「長野県防災」のツイッターも、熊本、鹿児島へ力を送っています。

長野県防災のツイッター https://twitter.com/BosaiNaganoPref

救助を待つ方も、救助に当たる方も、そのご家族の方も、皆さんそれぞれに大変な状況と思います。互いに励まし、ささえあいながら、そして、2次災害のないようにお願いします。 

災害救助法の適用

7月3日からの大雨は、大勢の方の生命に危険が及ぶ状態となってしまいました。そこで4日の朝、熊本県は県内の5市6町5村、鹿児島県は県内の3市1町に、災害救助法の適用を決定しました。

今まだ人命救助活動の最中と思われますが、救助・避難された方はもちろん、地域のいろいろな場面で大変な困難が生じると思われます。

災害救助法の適用で、発災直後の応急的に必用な救助を行い、被災者の保護、社会秩序の保全を目指します。国、地方公共団体、日本赤十字社その他の団体や国民の協力のもとに取り組まれます。

災害救助法に基づく救助の種類

災害救助法に次の項目が挙げられています。それぞれに対象者、対象期間、対象経費等が定められ、国や県が費用を負担して活動を行います。

  • 避難所の設置(福祉避難所の設置を含む)
  • 被災者の救出
  • 飲料水の供給
  • 炊き出しその他による食品の給与
  • 被服、寝具その他生活必需品の給与・貸与
  • 住宅の応急修理
  • 応急仮設住宅の供与
  • 医療・助産(救護班の派遣)
  • 学用品の給与
  • 障害物の除去
  • 埋葬
  • 死体の捜索や処理

内閣府の 災害救助法の適用状況 の「令和2年7月3日からの大雨による災害にかかる災害救助法の適用について【第2報】 」を見ると、4日の朝の段階でこれまでに取られた措置は「避難所開設等」です。が、現地のニーズに合わせて、続々と次の救助活動が行われるはずです。熊本県も広いと思いますが、県としては熊本地震の避難所運営、被災者支援等の経験もありますし、近年に豪雨災害を経験した福岡県等も近くにあり、迅速で的確な救助・救援活動が行われることを期待しています。 

東日本台風の時、長野市の避難所での経験

令和元年東日本台風の際、私自身は直接の被害はありませんでしたが、長野市南部にある2か所の避難所に、支援等のためにたびたび訪れていました。その経験から、学んだことをいくつかご紹介します。 

衛生管理、健康管理

避難所の衛生管理には、当初から大変気を配っていました。今は新型コロナで当たり前になってきましたが、ハンドソープを使った丁寧な手洗い、消毒用のアルコール等が各避難所に配備されていました。インフルエンザの予防接種も、避難所避難者には公費負担で行っています。医療チーム、保健師の方々等が、何度も避難所を回り、被災者一人ひとりの話を聞いたり体調管理をしていました。

飲食物

初日は防災倉庫にあったペットボトルの水や乾パンでしたが、翌日には災害応援協定を結んでいた事業所からお弁当が出されるようになり、飲食物がない(ひもじい)状態は早めに脱しました。さらに、自衛隊によりあたたかい汁ものが出されるようにもなったのは、皆さん嬉しかったようです。(10月から11月の時期だったのもあり)また、避難所生活で調子を崩しやすいおなかのため、野菜ジュース、果物などの差し入れも喜ばれていました。アレルギー対応は、当初は全くされていませんでした。アレルゲン情報が掲示されるようになったのは、自衛隊の汁物が出るようになって以降のことです。早めの対応が必要でした。

衣類、身の回り品

浸水地区からヘリコプターで救助されたり、水につかりながら避難してきた方がいる避難所で、タオル、替えの下着、衣類に困った方は多くありました。長野市では下着は流通備蓄を考えていたとのことで、避難者にすぐに届けられなかったのが残念です。代わりに、市民や地元企業のご厚意で届けられたものが役立ちました。ただし、備蓄にしても、寄付品にしても、サイズや形状が、避難している方の希望と合わない場合もあり、結局、知り合いに頼んで買ったりしていました。また、ご厚意で持ち込まれた洋服等は、避難所閉鎖の際に大量に余ってしまったのも事実です。

避難所スペース

避難している方には、最初、日本赤十字社の毛布が配られました。場所により施設の備品のマット、長野市の防災備品のテントや間仕切りが用意されました。ほどなく段ボールベッド、畳なども入ります。避難所ですが、ある程度のプライバシーや快適性の改善がみられました。

情報提供

避難所の掲示板、情報提供スペースは、日を追うごとに充実していきました。最初は情報がなくて困るのですが、そのうちに情報がどんどん増えて、新旧が分かりにくかったり、類似情報が別のところから出ていたりするようになります。複数の避難所を回ると、避難所ごと運営者の工夫や努力が見えてきます。分野別に見出しを付けたり、いつの情報かすぐわかるように日付を追記したりといった、アナログな作業が私的には良いと思いました。各避難所にはネット環境、パソコン、プリンターのセットが配備されましたので、避難所にいる運営者側も、しっかり情報を受け取れるようになった点も重要だと思います。

ペット

近隣2か所の避難所では、計3匹の小型犬を見かけました。いずれも数日のうちに飼い主とともに見かけなくなりました。(自宅等に戻りました)その後、元気に過ごしていることを祈ります。私が通っていたところとは別の避難所2か所では、ペット専用スペースが設けられました。長野市ではペット同行避難が進んでおらず、残されたペットが不幸になくなったりしたという話も聞こえてきて、悲しいです。ペット同行(同伴)避難に関しては、熊本県にはそのリーダー的な方がいらして啓発をされています。いずれ、今回の避難行動におけるペットの様子を知ることができたら、と思っています。 

生活再建へ

泥のかき出し、消毒

水が引いてきたのを見計らって、泥のかき出しが始まりました。

道路の応急復旧は、災害応援協定を結んでいる地元の建設業者の方々のお力で。

数日のうちに、ボランティアをめぐる体制も整備され、いろいろな方の手を借りることも始まりました。

そこで必要になったのが、スコップ、長靴(釘を踏み抜かないように金属入りの中敷きがあるとよい)、ゴム手袋、雨合羽。作業する場所では、土のう袋、一輪車(ねこ)が活躍しました。そして、乾燥すると粉塵がすごいので、マスクやゴーグルも手放せません。携帯用の手指消毒液(ウェットティッシュのようなもの)も大活躍です。長野では一時品切れ続出し、県外からの応援グッズが助かりました。

建物を十分に乾燥させた後は、消毒も必要です。

震災がつなぐ全国ネットワーク「水害にあったときに」~浸水被害からの生活再建の手引き~ https://blog.canpan.info/shintsuna/archive/1420 をご参照ください

市民の寄付品を被災者に無料提供

被災後2か月ぐらいの時、市のリサイクルプラザにおいて、被災者の生活に必要なものを無料でお渡しする催しが開かれました。それらの品々は、市民から持ち寄られた、原則新品のものです。水害は家財を流してしまったり、家に残ったとしても、水や泥が付いて使えなくしてしまいます。数量制限等はあるにせよ、被害を受けた方には大変喜ばれていました。これが開催されたのは12月。今7月ですが、春物、夏物の衣類等がない方もおいででは、と思います。もう少し継続して行われないか、と思います。 思い出しながら書きましたが、私の限られた活動でも、本当にたくさんのことがありました。今回の熊本・鹿児島豪雨は発災時期が夏であったり、新型コロナ感染症のこともあり、昨年の東日本台風とはまた違う配慮が必要になっています。こうして書いている間にも、辛い被害情報が入ってきています。早く天候が落ち着き、みなさんの命、健康が守られるように、十分な救援活動ができることを切に願います。