令和2年6月定例会の報告 その2です。
本会議における東方の一般質問を、2回に分けてお伝えします。今回は、質問項目前半の「子どもたちの安全を守るための取組について」の質問と回答の要旨です。
【目次】
今議会の質問の背景と趣旨
質問の背景
長野市では、令和2年2月ごろから、新型コロナウィルス感染症の地域社会への影響が出始めたと感じています。3月になると学校の休業、テレワーク等の呼びかけ、そして非常事態宣言、休業要請等へ広がりました。5月にはそれらも段階的に緩められてきましたが、市民生活、地域経済への影響はとても深刻化したことを受けて、質問を組み立てました。
質問の趣旨
新型コロナウィルスの感染拡大を受けて、「新しい生活様式」への移行が求められています。それにより、従来の慣習、学び方や働き方、ビジネスモデルの見直しに直面し、文化や価値観も変わっていくと考えます。
パラダイムシフトが進行する中で、子どもたちの安全を守り、地域経済を回し続けるための本市の取り組みについて伺いました。
サマリー=答弁を受けて
保育所、小中学校、放課後こどもプラン施設等では、新型コロナウィルスに関連した基本的な対応が行われていることが確認できました。
マニュアルや対応方針等が学校や保育園等に通知されているところですが、各施設で対応を判断しなければならないこともあります。職員一人ひとりが適切に、スピーディーに動けるよう、その周知や細部のシミュレーション、訓練等が行われることを望みます。
加えて教育や保育の現場からは、感染防止に関する資材や人員等の不足を訴える声も届いています。実際の教育、保育の現場の視点に立ち、確実にそれらが行われるような手当てがなされることが必要と考えます。
子どもがかかわる中傷や差別は、今回質問した学校での人権教育にとどまりません。私を含め、周りの大人も自らの言動に注意し、人権意識を高めていかないといけないと考えます。
質問1 子どもたちの安全を守るための取組について
ア)保育所等における感染防止対策について
保育所や学校等では、子供同士が密になりやすいリスクを抱えている。特に幼い子どもは、大きな声で歌ったり、スキンシップしたりがその発達に大事なものであるだけに、現場の先生方も大変ご苦労されていると聞く。
保護者の皆さんにも信頼してお子さんを通わせていただけるよう、本市の対応について、まず2点伺う。
①保育所等や学校での感染防止の対応について
【質問】6月からの学校や 子育て支援施設の再開、保育所等への登園自粛依頼の終了にあたり、各担当部局から学校や保育所等側と保護者側へ、感染防止のためにどのようなお願いや指導をしているか。消毒や感染防止対策用の資材、人員は足りているか。
【回答】
《保育所等について(こども未来部長回答)》~厚労省ガイドラインに基づき対応~
保育所等は、保護者が働いており、家に一人でいることができない年齢の子供が利用するものであることから、感染症防止策を徹底し開所してきた。
保育所等における感染症対策は、通常時から厚生労働省の感染症対策ガイドラインに基づき、消毒等の園内環境整備、園児の手洗いや健康状態の把握等を実施している。新型コロナウイルス感染症に当たっては、この取組を徹底するとともに、職員のマスクの着用や健康チェックの徹底のほか、保育中の子供の間隔確保など追加して取り組んでいる。
保護者に対しては、家庭での小まめな手洗いや御家族の健康管理の徹底をお願いし、園児に風邪の症状や体調不良が見られる場合には登園を控えていただくようお願いしている。登園自粛期間の終了をお知らせする通知においても、改めてお願いしている。
消毒や感染防止対策用の資材や人員については、現時点では支障を来している状況にはないと考えているが、長期化に備え、不足することのないよう努めていく。
《小・中学校について(教育次長回答)》~文科省マニュアルと学校の実情に合わせて対応~
6月1日からの学校再開に際し、各学校に対し、文部科学省による衛生管理マニュアルに基づいて対応するよう周知した。
併せて、市教育委員会では、各校の学校医や学校薬剤師と十分に連携して、学校の実情に応じた保健管理体制を整備することを特に加えて指示した。
保護者に向けて、学校内での感染を防ぐためには、何よりも学校外からウイルスを持ち込まないことが重要であるとの認識の下、登校前の健康観察の徹底とともに、各家庭においても新しい生活様式を実践いただくよう、機会を捉えてお願いしている。
消毒や感染防止用の資材については、少しずつ入手できているものの、充足しているとは言えない状況が続いている。できるだけ早く必要な物品を配布できるよう努めている。
財源の確保については、国の緊急対策パッケージや地方創生臨時交付金等の活用ができるよう努めている。
感染防止のための人材については、漂白剤を水で希釈し消毒する際は、安全面に配慮し、教職員が行っている。最近では、より安全で広く流通している台所用洗剤を用いることで、児童・生徒の清掃が可能となったことから、清掃を含め、新しい生活様式が徐々に定着されていくようになるものと考えている。
②授業や行事等への影響について
【質問】保育所の保育、小・中学校の授業やクラブ活動、それぞれの年間行事において、感染防止の観点から、実施が困難と認識されているものはあるか。
【回答】
《保育所等(こども未来部長回答)》~今のところ実施困難なものはなさそう~
保育所等における年間行事につきましては、感染防止に努めながら開催しており、今のところ実施困難と認識しているものはないが、状況を見ながら都度開催の判断を行っていきたい。
《小・中学校(教育次長回答)》~可能な限り感染対策を行い、実施できるよう工夫~
文部科学省の衛生管理マニュアルでは、児童・生徒の接触、密集、近距離での活動、向かい合っての発声を伴う各教科の授業やクラブ活動については、可能な限り感染症対策を行った上で実施するよう示されている。
同マニュアルには示されていないが、泊りを伴う行事や、多くの児童・生徒や保護者等が国内の施設に集まって開催する行事については、今後の感染状況等を踏まえながら慎重に検討しなければならないと考えている。
イ)感染者等が確認された場合の対応について
【質問】6月からの学校再開を喜ぶお子さんが「市内で感染者が出たらまた休校になるの?」と不安を持っているとの声が保護者から寄せられた。
今後市内で感染者等が確認された場合、保育や教育にかかわる部局と各施設の対応について、手順、判断基準等は整理、共有されているか。例えば、学校関係者の感染や濃厚接触の疑いが明らかになったとき、休業するかどうかの判断基準、その範囲や期間、再開までの手順等について。
H26年2月策定の「長野市新型インフルエンザ等対策行動計画」に事務分掌等あるが、保育・教育施設等での対応について具体的な想定がされているのか等、その概要について伺う。
【回答】
《保育所等(こども未来部長回答)》~対応をまとめ、認可外を含む保育施設に通知~
保育所等で感染が確認された場合の対応について、厚生労働省等からの通知に加え、長野市保健所及び長野県の関係部署と調整の上、取りまとめた本市の考え方を、4月22日に認可外保育施設を含む私立保育所等に通知し、情報共有を図っている。
概要は、
- 園児や職員等が感染者又は濃厚接触者として特定された場合の情報提供の連絡手順
- 臨時休園の目安(個別の発生状況により異なるが、感染した園児又は職員が登園していた場合や、園の消毒作業期間中、濃厚接触者が複数特定された場合等)
- 感染者・濃厚接触者への差別、誹謗中傷等の注意喚起について
なお、園児又は職員に感染者や濃厚接触者がいない場合でも、近隣地域で流行が認められる場合は、全部又は一部の臨時休園も検討することとしている。
今後、市内で感染者等が確認された場合は、発生状況に応じ、関係機関及び各施設と調整し、対応していく。
《小・中学校(教育次長回答)》~文科省マニュアルをベースに、市対策本部で協議~
学校の臨時休業の判断については、専門家の助言を頂きながら、学校関係者の感染者等が発生した場合の対応フローを作成し、3月31日付けで各校及び関係課に周知した。
その後、5月22日付けで文部科学省より、考慮すべき事項として、学校における活動の対応、接触者の多寡、地域における感染拡大の状況、感染経路の明否の4点が示された。
市教育委員会としては、今後、学校関係者に感染者等が発生した場合には、これらの事項について文部科学省のマニュアルどおり、保健所の調査や学校医の助言等に基づいて検討し、市対策本部での協議を経て、臨時休業とする学校の範囲や期間等の決定をしていく。
なお、学校関係者に感染者が発生していない場合であっても、市内の感染警戒レベルが悪化し、社会経済活動を自粛するよう要請された場合は、安全安心を最優先に、分散登校や臨時休業といった措置を講じるなどの対応もあり得るものと文部科学省のマニュアルにも記載されている。
ウ)学校等における人権への配慮について
保育所等や学校が休業等になる場合、感染者や濃厚接触者、その施設や地区に対する憶測、偏見や差別等が懸念される。そこで、学校等における人権への配慮について3つのポイントから伺う。
①子供への人権教育について
【質問】人権を守るために、改めて人権意識を高める必要がある。子どもに対しては学校での伝え方、人権教育の影響も大きいと考えるが、新型感染症に関して、対応はされているか。
【回答】
《小・中学校(教育次長回答)》~発達段階に応じた指導と教員研修~
感染症の怖さは、病気が不安を呼び、不安が差別を生み、差別が更なる病気の拡散につながると言われている。偏見や憶測の下には、感染症に対する不安があるものと考えられる。その不安を解消するために大切なことは、正しい情報を得ること、悪い情報ばかりに目を向けないこと、差別的な言動に同調しないこと。
子供たちが正しい情報に基づいて冷静かつ賢明な行動を取れるよう、文部科学省等から提供されている指導資料を活用しながら、感染症に関する適切な知識を児童・生徒の発達段階を踏まえて指導するよう各校へ通知している。
また、子供たちの言動、行動の中に潜む差別の芽を早期に見出し、適切に教育していくためには、何よりも教師自らの人権感覚を見詰め直し、確かな人権感覚を身に付けられるよう、不断の研修が求められるところ。今後も、人権教育が一層充実して行われるよう、教員の研修に力を入れていく。
②新型コロナウィルスに関する相談状況について
【質問】子どもに関する総合的な相談窓口として「こども相談室」がある。新型感染症の影響によるストレスや悩みなど、心のケアに関する相談への対応について、周知はされているのか。
また相談室への、新型感染症に関連するストレスや悩みなどの相談件数と、コロナ禍の前と後で相談内容の深刻度に変化があったか。
【回答】
《保育所等(こども未来部長回答)》~4・5月の新型コロナ関連の相談は18件~
相談窓口の周知については、市ホームページに掲載した他、ながのわくわく子育てLINEや市教育委員会の小・中学校保護者メールなどにより通知した。
4月、5月に新型コロナウイルス感染症の影響と思われる、子供に関する相談件数は18件ほどあった。例年、この時期の相談は、小学校への登校や保育所等への登園渋りの相談が多く寄せられていたが、今年度は学校の長期休業中に出された課題に子供が取り組まないことへの保護者のストレスや兄弟げんかなど、外出自粛による生活上のストレス等の相談が多かった。
③保育所等施設職員のストレスケアについて
【質問】保育所、学校、放課後プラン施設等の職員には大きなストレスがかかっていると想像される。ただでさえ人材確保に苦労している中、職員のストレスケア、相談体制はいつも以上に手厚くする必要があると考える。何かしらの対応、配慮はされているか。
【回答】
《保育所等(こども未来部長回答)》~保健室等との連携で相談体制を用意~
働く中で新型コロナウイルス感染症に関する悩み事等の相談については、各事業所やそれぞれの職場を中心に体制づくりを行っている。
例えば、市立保育所の職員につきましては、本市医務保健室において健康相談を随時受け付けている他、必要に応じて専門の医師による相談ができる体制を整えている。
学校教職員については、養護教諭等が中心となり学校長との相談の上、学校医や中学校区ごとに配置されているスクールカウンセラーと相談できる体制を整えており、市教育委員会と連携しながら対応している。
民間の保育所や放課後子ども総合プランを実施している委託事業者においては、それぞれにおいて対応しているが、市に相談があった場合には連携して対応していく。