辰巳新道(たつみしんどう)の一部拡幅に関する地元説明会が7月9日に行われ、出席してきました。
期成同盟会関係者、道路に隣接する住民や事業所の方々が数十名集まりました。進行は長野市篠ノ井支所(期成同盟会事務局)、説明は長野県長野建設事務所の計画調査課、用地課の方々です。もちろん3密を避けるために広い会場に離れて座り、ドアを開け、換気扇を回しながらの開催です。
【目次】
3つの名前を持つ辰巳新道
この「辰巳新道」は、長野市の南部にある篠ノ井地区と松代地区を結ぶ道路の一つです。篠ノ井の部分は通学路に使われていますが歩道がなく、その拡幅と安全対策が地元で求められてきました。(横田、御幣川の子どもたちが通明小学校に通う道)
ところで、地元では「辰巳新道」と呼ばれていますが、「県道 清野篠ノ井停車場線」「都市計画道 岩野二ツ柳線」と、場面により3つの呼ばれ方があり、若干混乱します。
拡幅事業の概要
対象箇所
拡幅事業の対象になっているのは、辰巳新道の「御幣川五差路」から国道18号篠ノ井バイパスとの「御幣川横田」交差点までの約800メートル。
そのⅠ期工区として「御幣川五差路」から「御幣川交差点」(県道77号 長野上田線)との交差点までの230メートルほどに取り掛かります。なお、交差する二つの道路の通行が円滑に行えるよう、交差点から数十メートルぐらい先までが一体的に整備対象になります。
辰巳新道の拡幅計画
道路幅を5.5メートルから16メートルへ
標準部の道路幅、現状は5.5メートルです。車が対面通行していますが、明確な歩道がありません。道路の外側は、宅地または田んぼや用水路となっています。
標準部分の計画は16メートル。(都市計画決定の通り)車道は片側1車線ですが、少し広く片側3メートルになります。歩道を両側に3.5メートルずつ取り、車道と歩道の間に1.5メートルの植栽帯または停車帯を確保できる幅となります。
交差点部分
辰巳新道の御幣川交差点部分は19メートルの幅員を計画し、「右折、直進、左折」の車線を取れるようになります。
交差する県道上田長野線の拡幅について
県道 長野上田線(都市計画道 県庁篠ノ井線)は、県庁に近い更北、川中島地区で拡幅が進められています。
今回の説明会では、篠ノ井地区も同様に、都市計画決定されている22メートルの幅員で整備する方針が明らかになりました。これは、車道が片側2車線、1.5メートル幅の自転車道、3メートル幅の歩道が両方向に設けられる幅だそうです。さらに、交差点部分では直進2車線を残しつつ、右折レーン、左折レーンを設けるが、自転車道は狭くなるとの説明がありました。
質疑応答
説明の後に、会場にお越しの方々と質疑応答がありました。説明を聞いていて「うん?」と感じたところも、同様に疑問を持った方がいらして、質問されていました。
以下、メモから書き起こしますが、細かいところに効き漏れや誤解があるかもしれません点を、ご承知の上お読みください。
質問 家を建ててからまだ数年。拡幅計画を知らなかった。こうした計画があるのになぜ建築許可が出たのか? 建築にかかわる役所同士の連携を図ってもらうのと、業者の指導もしっかりやってもらいたい。
回答 都市計画は70年ほど前からあり、今の形(幅員)になったのは平成になってから。そういう場所でも、制度上、木造建築物は建てられることになっている。言い方が悪いが、壊しやすいから。売りたいがために、業者の説明が十分でなかった可能性もある。建設事務所内に建築課もあるので、指導をしていく。
質問 事業所の中にガスボンベがあったり、車の出入り口、作業スペースの広さ等の希望がある。自分の敷地のどこまでが道路にかかるのかについて、細かいところはいつわかるか?
回答 これから、1軒1軒伺い、詳細について調べていく。具体的な日にちはまだ出せないが、その時にお話ししながら確定していくことになる。
質問 県道長野上田線を、交差点のところで直線2車線にする意味は?18号バイパスに車を流しているのに、ここを2車線していくのは、全体の交通の考え方に逆行しないか。今回の工事ではその先がまだ1車線なのに、交差点だけ2車線にしてもかえって危ないではないのか。また、交差点のところで自転車道の幅が狭くなるのも危ない。
回答 地域の交通量を把握して計画をしている。都市計画ではこの幅員となっているが、交差点部分にどのような車線を設けるかは「交差点協議」(警察と相談)で決めていくので、安全に通行できるようにしていく。
質問 測量が始まるが、実際に工事に着手するのはいつごろか?
回答 法務局の公図との形状確認を行い、違うところがあると是正、境界立ち合いをして、面積の確定となっていく。その工程にどれぐらいの時間がかかるかがまだわからないので、今は工事時期についても明確には言えない。
質問 Ⅰ期の先、御幣川交差点から国道18号バイパスまでの間はいつごろになるか?
回答 必要性は理解している。まずは御幣川五差路から御幣川交差点の区間を形にしてから。
質問 説明会開催案内にあった平面図と、今日配布の平面図で計画線の位置が違うが?
回答 今日配布の方が正しい。
所感
期成同盟会があるように、この事業への地元の期待は大きい。しかし、説明、地元の方からの質問も伺っていて、気になることは何点かある。
幅員16メートル!
歩道が必要なのは明らかだが、16メートルというのはかなり広く感じる。(篠ノ井駅前、篠ノ井で先行する川中島幹線も同様)
道路を挟んだ地域の雰囲気が全く変わることになる。
都市計画決定後の対応
(今回の路線に限らず、一般論として)都市計画決定されている道路に想定する交通量や機能。都市計画決定から何十年もたっているのは多くの人が知っている。道路の通行量、求められる機能等は次第に変わってくる。何よりもこれからは人口減少、公共施設を減らさなければいけない時代。その道路幅、車線等の置き方等にはいろいろな意見が出てくるのは必至だ。
県道長野上田線は、車道片側2車線化が本当に必用なのだろうか。また、自転車用の車線を交差点部分で狭くする設計に対して、質問者が求めているような回答はなかった。今後の交通量を考えるとき、車用の車線を増やすのではなく、歩行者、自転車、緑のスペースへの比重も高くなるのではないか。計画幅をすべて道路にしなくてもよいのではないか、等考えさせられた。
拡幅計画のある道路沿線の民間取引
会場から質問されていたように、拡幅計画がある道路沿線で、宅地分譲や新しい家が建てられていた。その取引、契約の詳細は不明であり、あくまでも推測だが、新しい住民となる方へ、十分な説明があったのか、疑問が残る。
ここに限らず、道路拡幅等が予定されているところはあちこちにある。専門家、公的機関は抑えているはず。しかし、お施主さんはそれを知らないことがままある。そのお施主さんと直接接する事業者は、専門家としてきちんと対応しなければならないはずだが、万が一「売りたい」「建てたい」気持ちが強く、あいまいな言い方や説明が不十分になってしまう懸念も拭い去れない。「青天の霹靂」のような悲しいことが起こらないように、行政で手立てしなければならないのではないだろうか。