長野市の防災行政無線【デジタル化】、災害情報の確実な伝達

長野市では、防災行政無線のデジタル化が進んでいます。


【目次】


篠ノ井「芝沢公園」の新しい防災行政無線

篠ノ井の私の事務所(店)の近所にある芝沢公園にも、7月の終わりに無線設備が新設されました。

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芝沢公園に新設された防災行政無線屋外拡声子局(長野市篠ノ井布施高田)
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芝沢公園にある防災行政無線屋外拡声子局(屋外スピーカー)

整備が遅れています

実はこの長いポールだけは昨年から立てられていました。当初は昨年度末までに整備予定だったのですが、東日本台風、新型コロナと相次ぐ災害の影響で遅れ、7月末までの設置となりました。

途中、地元の方からの心配の声をいただき、長野市公園緑地課と危機管理防災課に数回経過を伺いました。

年明けの問い合わせ

【東方】芝沢公園に、このようなポールだけが立っているが、防災行政無線の整備予定で間違いないか。

【公園緑地課の担当者】公園敷地内に、防災無線を立てることで、危機管理防災課と確認しています。

【危機管理防災課の担当者】ポールだけ先行して立っています。台風19号の影響で、市内全体の整備が遅れていますが、篠ノ井地区は年度内の整備予定でいます。

再度の問い合わせ

それが年度が替わり、4月になってもポールだけのままだったため、再度問合せました。

【東方】芝沢公園、まだポールだけが立っているのですが、防災無線の整備予定に何かありましたか?

【危機管理防災課の担当者】新型コロナの影響でさらに遅れています。7月末までの整備予定です。

【東方】送れている理由は、新型コロナの影響で海外からの部品の供給が止まっている等によるものですか?

【危機管理防災課の担当者】いいえ、市内の日本無線が受託者で、全部とは言わないまでも地元で作られていると思います。海外部品等の供給ストップ等による影響というのではなく、デジタル化のために総務省で新たに免許を取ったりする手続きが、新型コロナの影響などで遅れているためです。
【東方】篠ノ井地区は7月末までということで了解しました。長野市のほかの地区も遅れていると思いますが、全体の工期がそのまま後ろに遅れるのではなく、できるだけ元の工期に近づくように、スピードアップを希望します。

*本題とは別ですが、地元の会社が受託して進めてくださっているのは誇りでもあり、地域経済にもプラスになるのでうれしいことです。

ダメ押しで議会質問

6月定例会の一般質問でも、取り上げました。

【東方】東日本台風と新型コロナウイルスで防災無線のデジタル化工事が遅れていると聞くんですが、状況をお聞かせください。

【危機管理防災監】デジタル化整備工事につきましては、令和元年東日本台風災害のため工事の一時休止を余儀なくされ、また、今般の新型コロナウイルスによりまして工程に多少影響が出ていることから、当初の計画より2か月ほど遅れが生じているところでございます。整備期間中は現行のアナログとデジタルを併用して放送しておりますので、工事の遅れによる市民の皆様への影響はありませんが、工事の遅れを取り戻すよう整備を進めているところでございますので、御理解をお願いします。
以上です。

【東方】鋭意努力をお願いいたします。

6月定例会の答弁では「2か月遅れ」とされていますが、篠ノ井のこの事例は4か月遅れ。

そして、「アナログとデジタルを併用して放送なので影響はない」との説明ですが、そもそも、アナログの設備ではよく聞き取れないのでデジタル化に移行している背景があります。(設備の老化、免許の更新ができない、国がデジタル化を推進等の理由もありますが)デジタル化が済んでいないエリアは、「よく聞き取れない状況」に引き続き置かれている可能性が高いので、早期の改善に努めていただきたいものです。

*議会質問では、持ち時間がなくて突っ込めなかったので、ここで補則いたしました。

まだ使えない防災無線

そうしたやり取りがあり、「3月末まで」が「7月末まで」に、そして、「免許が下りるまでは設置ができない」と等を地元役員さんにもお伝えし、いよいよ7月末。

ようやく設置♬と思って現地確認していたのですが、一つまた落とし穴が!

なんと、「調整中」の貼り紙!

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芝沢公園の防災無線の貼り紙「調整中」

設置終了=使用開始、のイメージでおりましたので、「秋ごろより運用予定」は想定外。設置後の「調整」はあるにしても、その期間がそんなに長いの?というのが正直な感想です。担当課からの説明にも一言欲しかったところです。

複合的な災害情報伝達手段の活用を

この防災行政無線のデジタル化は、音質、聞きとりやすさの改善が期待されています。確かに私も、デジタル化が済んだ別の場所のスピーカーからの放送が、聞きやすくなったのを実感しています。

しかし、屋外スピーカーによる情報伝達は万全ではありません。

聞き取りやすくなったと思うデジタル化ですが、それでもやはり「何を言っているかよくわからない」とおっしゃる方がいらっしゃいます。昨年の東日本台風の際も、「防災無線から何か放送していたが、何を言っているのかわからなかった」という声がありました。

条件の良いところでは聞きやすくなったとして、ほかの騒音とかぶるような条件の悪いところで、音だけの情報を正確に受け止め、理解するのは難しいことです。

また、建物の気密性が高くなっており、屋外の音を聞き取りにくくしています。

(これは、野鳥や自然が大好きなご近所の方とお話ししていて気が付きました。「先日の朝、近くでカッコウ鳴いていましたね」と言ったところ「わからなかった」。そのお宅は気密性が高いようで室内まで届かなかったようです。我が家は隙間が多いので聴けたのでしょうね。)

防災行政無線の情報を別の方法で知る方法
http://nagano-bousai.jp/musen.html

長野市では、同報無線で放送したお知らせした情報を、上記の長野市の防災ポータルサイトに掲載することになっています。

※掲載している放送は、豊野、戸隠、鬼無里、大岡、信州新町及び中条支所から個別に放送したものについては掲載しておりません。

もう一つ、電話で放送内容を聞くこともできます
通話料無料のフリーダイヤルへ電話すると、放送内容を再度聞くことができます。

防災無線の確認はこちら(音声自動応答装置)0120-479-231

災害情報の伝達手段、いろいろあります

長野市の防災行政無線に関する検討資料にも、こうしたページがあります。

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災害情報の伝達手段の現状(平成28年度 長野市防災無線検討資料より)

これは平成28年時点の絵ですが、携帯電話やスマホを持ち歩く方も増え、緊急速報メールで災害の危険性や避難情報を知る方も増えていると思います。自治体が発信するインターネットの情報も、ホームページよりSNSの方が身近ではないでしょうか。

また、東日本台風発生後、長野市では臨時災害放送局(FM放送)を設けて、被災者向けの情報を24時間繰り返し放送していました。

災害情報の伝達手段・収集手段の改善を

私は2011年まで、東海地震が想定されている静岡県に長く住んでいました。その静岡県内自治体では、防災無線の戸別受信機を希望の市民に貸与する制度が、以前から普及していました。

長野市は特定の地区や機関にだけ配布しています。

  • 戸別受信機を全戸に配布している地区 3箇所(豊野、戸隠、大岡地区)
  • 防災ラジオを全戸配布している地区 1箇所(長沼)
  • そのほかの個別受信機設置先 土砂災害特別警戒区域のお宅、防災関係機関(職員、学校、市議会議員、消防団員、区長、福祉施設など)

外の音が聞きにくい方には、戸別受信機は大変助かるアイテムだと思います。しかし、一般家庭、企業等への配布はしてこなかったのはなぜでしょうか。要確認(自分への宿題)です。

一方で、防災無線のデジタル化に伴い、これまでのアナログ対応の戸別受信機等が使えなくなるということです。この今後の対応についても、後日確認事項といたします。

情報の発信・受信に使う機械や技術は進化、多様化しています。それぞれに特徴、得意・不得意があります。

音の情報、文字の情報、

写真や動画、地図情報、

地域全体の情報、より細かい地区の具体的な情報、

一方通行、双方向 ・・・

網羅、体系だった説明ができませんが、多様な手段の特性を把握して、どの手段を使う人にも(年齢、障がい、言語や土地勘のあるなしにかかわらず)、命や安全にかかわる情報が確実に届けられなければなりません。

間違った情報、不確かな情報には気を付けなければなりませんが、自治体も、住民も、これらをうまく使って、安全に過ごせるようにいくことを、探究していきたいと考えています。