新型コロナワクチンへの期待と長野市の準備状況(2021年4月19日現在)

ワクチンへの期待

全世界がワクチンを一斉に打つというプロジェクトが進んでいます。世界の国々、国際機関、製薬会社や関連会社それぞれの思惑のなか、いかに速く、着実に進められるか、後世に誇れるような国際協力体制で進むことを期待しています。

日本は今のところ輸入に頼っており、供給量は、まだ少なく、かつ、不安定な状況です。
国は、ワクチンの輸入確保と都道府県への配分を行うとともに、接種について基本的な順位を示しています。
長野市では、国、長野県の方針も受けて、独自の優先順位を立てて公表しています。

国が示している接種順位

  • 医療従事者等
  • 高齢者(令和3年度中に65歳に達する、昭和32年4月1日以前に生まれた方)
  • 高齢者以外で基礎疾患を有する方や高齢者施設等で従事されている方
  • 上記以外の方

長野市での接種順(65歳以上の方)

  • コロナ患者受入病院に入院・頻繁に通院中の高齢者(4月19日~)
  • 1以外の病院に入院中の高齢者
  • 介護施設等に入所している高齢者
  • 基礎疾患を有する高齢者(5月中旬~)
  • 上記以外の高齢者

長野市では、「広報5月号に、接種に関する情報を載せるのでそれを見てほしい」としています。


実は長野市では3月末に、市内の65歳以上の方、約11万人へ接種券を発送しました。「国からの通知により、当初より遅らせた」とのことですが、接種券に同封された説明書類は2月の情報で作成されており、その後に国から遅れや変更があったことなどは知ることができません。そのために、市民や医療機関に混乱を引き起こしてしまっています。
送付された資料に書かれているのは、「接種会場等の案内を3月下旬に新聞折込する」、「QRコートで接種医療機関が検索できる」「ご不明な点はコールセンターへ」といったことです。
しかし、
接種会場等はまだ公表の段階になく、新聞折込はされていません。
QRコードのリンク先でも、情報が掲載されておらず、情報を得ることができません。
こうした、発送書類と現状との際により、コールセンターや市内の医療機関に電話が殺到してしまいました。
せめて1枚追加情報の資料を足すとか、発送時期をさらに遅らせるとか、接種する市民の気持ちに立った対応ができなかったものかと非常に残念でなりません。


医療従事者等のワクチン接種を最優先に

このように、全国的にも、長野市も、高齢者のワクチン接種に動いていますが、実は、国内で最優先とされている医療従事者等のワクチン接種は、まだ5分の1ほども終わっていないと報道されています。

これに関し、長野県のホームページには、下のような供給・接種スケジュールが掲載されています。

供給・接種スケジュール
出典:長野県ホームページ ワクチン接種の優先順位について

3月から始まった医療従事者等のワクチン接種ですが、なかなか進んでいない印象です。国から供給されるワクチンがもっと増えないものかと、気をもんでしまいます。

その限られたワクチンをどう使うかで、医療従事者等の中でも優先順位が設けられています。
病院の種類、診療科や職種、勤務先によって、感染リスクに若干の違いがあります。最優先されているのが感染症指定医療機関の従事者。ウイルスに接する機会が多く、医療従事者等が感染したことに対する社会的インパクトが大きいことによります。
また、医療従事者「等」となっているように、救急隊員や保健所職員等も、感染の可能性のある方と接する機会が多いことから、優先的な対象者になっています。

しかし、私が気になるのは、そもそものスケジュールが、医療従事者が20%程度終了するかしないかの段階から、高齢者の接種を始めることです。
ワクチンを接種する医療従事者は、接種より先に、自らがワクチン接種しているものと考えます。
長野市の場合、かかりつけ医でのワクチン接種を推奨し、それが難しい方は集団接種、ということになっています。つまり、特別な医療機関、限られた関係者だけでなく、身近にある開業医でワクチン接種が行われます。ワクチン接種にあたる医療従事者の数が増えることから、高齢者の接種より前に接種が必要な医療従事者等の数も増えるものと容易に想像できます。

高齢者など、重症化しやすい方への接種も早く進めたいところですが、感染防止対策の観点からは、まずは、医療関係者等のワクチン接種が優先されるべきです。
厚労省も、高齢者用にと各地に送ったワクチンを、医療従事者に用いることを容認しています。長野市でも、そのような対応で、まずは医療従事者、エッセンシャルワーカーへの接種が進められるべきと考えます。
中身が同じワクチンですから。

こうしたワクチン接種に関する長野市の現状と課題については、所属会派としても議論し、市に要望を挙げることといたしました。

 

人口の違いによる不安をできるだけなくしたい

もう一つ、市民から寄せられると予想されるのが、「○○町は始まっているのに、長野市はなぜまだなの?」という疑問です。
自治体の人口により、接種までの時間に差が出ることが見込まれます。

長野県では、先行して接種を行う22市町村をモデル自治体として選び、4月の12日または19日に、ワクチンを1箱ずつ配分しました。その1箱で975回(1瓶5回打てる注射器として)接種できることになっています。
モデル自治体の一つ、南佐久郡北相木村は、報道によると、65歳以上の高齢者が241人。ワクチン1箱で、対象の高齢者が2回接種を終えても余るため、64歳以下の村民希望者にも接種が行われる予定とのこと。

一方、長野市も、そのモデル自治体の一つです。
長野市が3月末に発送した高齢者向けのワクチン接種券は、約11万人分とのこと。すべての方が2回接種するには、単純計算で225箱のワクチンが必要です。モデル自治体として1箱を先に受け取れますが、残りはまだ224箱は必要です。
市から要望を出してその224箱程が確保され、高齢者の接種が進んだのち、次の段階の、基礎疾患のある方の接種となります。さらにその後に、それ以外の市民の接種が行われる段取りです。
長野市内に医療機関がたくさんあるとしても、予約等の手続き、ワクチンの確保などが円滑に進められないと、ワクチンを打ちたくてもなかなか受けられない方が残存する状況が続くことになります。

これに似た状況で、思い出すものがあります。
1年ほど前、国民一人当たり10万円を給付するという「定額給付金」の手続きです。国の制度が始まるやいなや、申請、給付を受けたという報道がされました。それは特に人口の少ない自治体でしたが、それを聞いた市民の方から、「なぜ長野市は2週間も待たせるのか」というお問い合わせ(お叱り)をいただきました。
給付するのは、人口の多い自治体でも、小規模な自治体でも、一人10万円というのは変わりません。しかし、その自治体により、申請を受け付けてから給付までの日数に違いが出る。人口が多いことの悪い一面を知った一件でした。

人口が多いことを一因に、ワクチン接種を希望しているのに、その実施まで長くお待たせしてしまう市民が大勢出てしまったり、またそのお待たせしている間に、感染状況が悪化するようなことは避けなければなりません。
何よりも、感染拡大以降、不安やご苦労を抱えっぱなしの医療従事者、エッシェンシャルワーカーの方々の、その肩の荷を早くおろしてあげたい。
ワクチン供給の拡大調整が進むよう強く願います。