新型コロナウィルスに有効な消毒方法の最新情報(6月27日版)

新型コロナウィルスに対する消毒方法について、6月26日、NITE(ナイト、独立行政法人 製品評価技術基盤機構)の最終報告が公表され、純石けん分と次亜塩素酸水の情報が追加されました。

*物の消毒を扱っています。手指の消毒は、せっけんやハンドソープを使い、丁寧に行うことで消毒ができます。


【目次】


NITEの新型コロナウィルスの消毒方法に関する検討経過

6月26日の公表資料、タイトルは「新型コロナウイルスに対する代替消毒方法の有効性評価(最終報告)」で、(最終報告)が付いているとおり、一連の報告の最終となっています。

この「代替消毒方法の有効性評価」が行われたのは、新型コロナウィルスの感染拡大で消毒用アルコールの需要が急激に高まり、供給が追い付かない状況になったことが背景にあります。一般の消費者が入手しやすい家庭用洗剤等で消毒ができないかということで、科学的な客観性、国民へのわかりやすさ、そしてスピードに配慮し、「これをこうやって使うと新型コロナウィルスの消毒に有効ですよ」という情報を発表してきています。

そのために「新型コロナウイルスに対する代替消毒方法の有効性評価に関する検討委員会」という専門家による委員会を立ち上げ、4月15日に第1回会議で検討を始めました。

代わりに使えそうな消毒用物資(洗剤等)の情報収集や選定、効果を見極めるための検証方法のルール作り、効果があるとされた洗剤の実際の使い方等の検討がされています。実際の検証は、国立感染症研究所、北里大学、国立大学法人 帯広畜産大学、国立大学法人 鳥取大学、一般財団法人 日本繊維製品品質技術センターの協力で行われたそうです。
結果、5月21日に5種類の界面活性剤について、5月28日に2種類の界面活性剤について有効と判断しました。

今回(6月26日)を最終報告として、有効な界面活性剤2種類を追加、評価が持ち越されていた「次亜塩素酸水」についての評価を入れて、公表されました。

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新型コロナウイルスに対する代替消毒方法の有効性評価(最終報告)の概要1 から


身の回りの物の消毒、何が使えるの?

身の回り品を「消毒したつもり」で感染してしまったら、それこそ努力も水の泡。新型コロナウィルスに有効な消毒方法、消毒の資材には気を付け、正しい方法で実践したいものです。

今回の評価に「代替」とありますが、そもそも「政府で既に推奨されており、検証不要」という方法が3つあります。

  1. 加熱(熱水):食品、物品向け
  2. アルコール消毒液(70%以上):手指、(食品)、物品向け
  3. 塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム):物品向け

そして、検証試験結果から、新型コロナウィルスに有効と判断されたのが、下の9種類の界面活性剤(有効な濃度)です。

  1. 直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(0.1%以上)
  2. アルキルグリコシド(0.1%以上)
  3. アルキルアミンオキシド(0.05%以上)
  4. 塩化ベンザルコニウム(0.05%以上)
  5. 塩化ベンゼトニウム(0.05%以上)
  6. 塩化ジアルキルジメチルアンモニウム(0.01%以上)
  7. ポリオキシエチレンアルキルエーテル(0.2%以上)
  8. 純石けん分(脂肪酸カリウム)(0.24%以上)
  9. 純石けん分(脂肪酸ナトリウム)(0.22%以上)

試験の結果、有効性が認められなかった界面活性剤もありました。

それで、界面活性剤とその濃度を覚えておくのができる方はいいのですが、私はこうした名前を覚えるのが苦手。私のような人には、商品名の方が分かりやすいかと思います。それも親切にリスト化してくれていますので、普段お使いの洗剤等が有効かどうかは、下のリンクからご確認ください。

新型コロナウイルスに有効な界面活性剤が含まれている製品リスト

www.nite.go.jp

住宅家具用洗剤34社、台所用合成洗剤23社(6月27日現在)の製品が掲載されています。

メジャーなところでは、

  • 花王株式会社 簡単マイペット、バスマジックリン、トイレマジックリン、キュキュットハンドマイルド
  • カネヨ石鹸株式会社 ジョフレおふろの洗剤
  • 株式会社コープクリーン CO・OPおふろクリーン 
  • 大日本除虫菊 水回り用ティンクル 防臭プラスW
  • 株式会社バスクリン バスピカ
  • P&G ジョイコンパクト、アミライト
  • ライオン おふろのルック、チャーミーマイルド
  • ロケット石鹸株式会社 マイトイレクリーナー

見慣れた家庭用洗剤の名前がいろいろ出てきます。いつもお使いのものが使える可能性が高いですね。

正しい方法で消毒をしよう

身近な洗剤等が使えるとして、もう一つ気を付けたいのが、消毒方法です。

洗剤を選ぶとき、また、消毒をはじめる前に、洗剤の容器等に書いてある使い方を読んで、その洗剤にあった使い方を確認するよう勧められています。ポイントは、

  • 原液か、薄めて使うか
  • 放置時間
  • 水ぶき、からぶきの手順

消毒の仕方は、NITEのページで動画(Youtubeの公式サイト)が掲載されています。

https://www.youtube.com/watch?v=38HY_4-5sCU&feature=youtu.be

これを見ていて「あれ!」と思ったのが(私ができていなかったことが)、拭き方。

洗剤等を付けた布やペーパータオルで拭くときに、私は往復運動でぐりぐり拭いていましたが、動画では、一方向に拭くように説明がありました。往復して拭くと、かえってほこりやウィルスを広げてしまうそうです(!)。私が「消毒したつもり」で実はできていなかった落とし穴でした。

もう一つ、忙しいと省略しがちですが、塗布して放置する時間。ウィルスを不活性化させるのに、秒殺できるのと、じわじわ効くものとあるようなので、省略してはいけないですね。

動画では台所用洗剤を使う例として、洗剤を水で薄める→洗剤うすめ液で拭く→5分ぐらい置く→水拭きする→からぶきする が紹介されています。

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身近な製品を使って消毒しましょう チラシ1
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身近な製品を使って消毒しましょう チラシ2 台所用洗剤を使う場合

話題の「次亜塩素酸水」は条件付きで効果ありだが・・

評価が先延ばしになっていた「次亜塩素酸水」は、濃度が一定以上等、特定の条件や使い方においては有効となりました。

下はその評価のまとめページです。

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新型コロナウイルスに対する代替消毒方法の有効性評価(最終報告)の次亜塩素水に関する評価のまとめ

これによると、次亜塩素酸水の成分濃度としては、

・次亜塩素酸水(電解型/非電解型)は有効塩素濃度35ppm以上

・ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムは有効塩素濃度100ppm以上

が必要で、かつ、実際に消毒作業を行う際に次のような注意が必要とのことです。

①汚れ(有機物:手垢、油脂等)をあらかじめ除去すること

②対象物に対して十分な量を使用すること

私が見たことがある次亜塩素酸水の製品は、成分等の表示がまちまちで、こうした条件を確認できそうにないものもありました。新型コロナウィルスの消毒には、上の成分濃度の確認をお願いします。

参考サイト: