長野市には今、3つの道の駅があります。道の駅 信州新町、道の駅 中条、道の駅 長野市大岡特産センターと、いずれも、長野市西部の犀川方面かつ平成の合併で長野市と一緒になった地域にあります。
そのうちの一つ、道の駅中条(中条地域特産物販売施設)と、同じ敷地にあるわんさか市(中条農林産物直売施設)の指定管理者が、令和3年4月1日から変わりました。
4月2日、犀川沿いの地区に用事があり、その後、「そういえば道の駅中条の指定管理者が変わったけれど、どんな風に引き継がれているのか」という関心があり、(ちょっと休憩もしたかったし)、道の駅中条を訪れました。
休日は車があふれる駐車場も、この時は少なく「平日のせいか空いているな~」と思っていたら「臨時休業」の看板をみつけました。
工事車両も停まっていて、新しい指定管理者が、新しいサービスを提供する前の改修をしているようです。
入口近くにいた方に「新しい指定管理者の方ですか?」と声をかけて、ごあいさつをさせていただいたところ、なんと!急な飛込にもかかわらず、ご担当者さんに現場をご案内いただきながら、お話を伺わせていただけることになりました。(ありがとうございます)
新しい指定管理者に注目の理由
前の指定管理の期間が令和2年度末までだったため、長野市では、決まりにのっとり、次の期間の指定管理者を公募し、選定しました。複数の候補者の中から選ばれたのが、eternal story株式会社さん(以下、文中ではエターナルストーリーとカタカナで書きます)です。
飯綱高原のホテルアルカディア(旧・飯綱高原教会ホテル アルカディア)、松代のコトリの湯(旧・虫歌の湯)と、市内民間施設のリニューアルで知られています。
公共施設では、2019年から長野市中条の「やちもち家」の指定管理者として運営をしています。(今回の道の駅と同じ中条にあり、連携も期待されています)
・やきもち家(長野市中条日下野) 公式サイト
また、同じくこの4月1日より、(仮称)山の駅飯綱高原の整備が進められている、飯綱高原・大座法師池周辺の長野市の観光施設の指定管理者にもなっています。
ということで、長野市内観光の刺激剤、再生のフロントランナーとして注目している会社さんです。
・eternal story株式会社 公式サイト
新しい「道の駅中条」の注目は?
「地域の皆様へのご挨拶」と題したリニューアル予告のチラシも参考に、新しい道の駅がどんなふうになるのか、を思い描いてみます。
この度の道の駅中条の運営においては、信州中条の魅力あふれる新鮮なお野菜をはじめとする特産品や、ジビエ料理など里山の幸を、訪れる皆さんに余すことなくご提供することをコンセプトに、地域のみなさんに愛される施設を目指して参りたく存じます。
道の駅中条 地域の皆様へのごあいさつチラシ(下の写真)より
青果物販売の担当者が、顔写真付きでごあいさつされているように、地元の野菜、信州の果物には力が入っているのがわかります。地元の農家さん、農業事業者とも話をすすめられていて、道の駅へ出荷してくださる方を大勢登録しているそうです。
私がよく買い物をしていた「わんさか市」(道の駅中条の小さい方の建物のお店)は、運営していた組合が解散とのことですが、そちらで買い求めていたような野菜と加工品も並べばいいな~と楽しみにしています。
そして、チラシの写真でもつい目がいってしまうジビエ料理。看板メニューの予感がありますね。ジビエ肉の消費拡大は、長野市にとっては鳥獣害対策とも重なる、中山間地の切実な課題です。興味はあるけど、香りや肉質などに不安を感じたり、値段が高かったりで敬遠している人も多いのではないでしょうか。そんな状況の中、ジビエ肉を手軽に食べられるように工夫し、取り込んでいただけること、感謝&大歓迎です。
一方で、ちょっと気になるのが、これまでの道の駅中条で人気だった粉もんのメニュー。それを目当てに通っていた方もおいでと思われますが、食べられなくなっちゃうのかな?・・という質問には、仕入等で地域内の連携も図りながら、期待にこたえられるようにしてくれるとのことでした。
そして、子どもが遊べる遊具も新たに設置。家族連れが、これまで以上に楽しく、安心して過ごせる場所になるかもしれません。
指定管理者が変わることとは
サービスを受ける利用者、お客さんとして
私自身これまで(議員になるまで)は、公共施設の指定管理なんて気に留めていませんでした。
こういう観光施設なら、「お店の模様替えしたの?」「メニューや価格が変わったけど、どうしてかしら?」ということから、何かが変わったと気が付くことがあるかもしれません。しかし、誰がやっているかというよりも、自分好みのサービスや商品があるかどうかの方に意識が向きます。
仮に、私みたいな人がたくさんいたとして、これまでのサービスや商品に満足していた方には、変わったことを好意的に受け止めていただけるかどうか。逆に、今までの利用が少ない方や新規客を増やすという面では、指定管理者が変わることがそのきっかけとなる可能性はあります。
これまでのお客さんを大事にしつつ、新しい方にも関心を持って利用いただける。。というのが理想ですが、実際の商売では容易ではありません。
指定管理者を目指す事業者として
指定管理の案件ではありませんが、私は昔の仕事で、企画コンペに参加していたことがあります。「仕事をとりに行くぞ!」とプレゼンに向かった時のドキドキを思い出します。
そういう、参加する側からすると、指定された条件に対して、これまでの良いところ、改善すべきところもチェックし、「自分たちだったらこう改善できます!」「これぐらい客数が増えます!」などとアピールしますよね。
新しく参入を目指す事業者であれば、これまでできていなかったこと、これまでとは違うこと、差別化(という言葉はあまり好きではありませんが)のアピールが多くなるのではないでしょうか。
一方、これまでの指定管理者は、自らの実績、取り組んできたことに対する利用者などからの評価をふまえて、継続して取り組むことを主張すると思われます。
指定管理者を選ぶ側として
選考する側では、それらを精査し、どの事業者に任せるのが良いのかを検討し、1社を選ぶわけです。
施設を持つ長野市の立場、事業者の立場にとどまらず、利用者、立地する地域、従業者、関係事業者等、影響するところが様々あると思います。選定する方たちもご苦労されていると想像します。
ただ、これをざっくりつまむと、①既定路線で行くか、②似た路線だけれどもより良い方法で取り組める事業者に変えるか、③新しい考え方や手法に切り替えるか、という選択とも言えます。
①既定路線:は、これまでの指定管理でうまくいっている、成果が上がっている場合。
②似た路線:の事例は思いあたりませんが、既存の事業者の発展的改組等でしょうか。
③新しい路線:は、舵を切り、新しい方針を取ること。従来の指定管理がうまくいっておらず、それを刷新する場合。従来の指定管理に問題はないが、新しい指定管理者の提案の方が優れていた場合。
長野は今回、③を選びました。
変化を選んだことで、新しい魅力が高まるだろうけど、従来良かったことも場合によって捨てなければならなくなるかもしれません。選んだ側として、これまで、ここまで、道の駅中条を支え、盛り上げてきた各者への敬意を払いながら、新しい指定管理者が、その施設を最大限に生かして目標を達成できるようにしなければならない、と思いました。
で、加えて、施設を持つ長野市としては、指定管理者の移行、施設リニューアルのフォローをも決め細やかにしているだろうか、検証しなければと思いました。
一つは、リニューアル中の数日間、物販やレストランが休業していることのアナウンスが見つかりません。
二つ目は、長野市の広報紙で指定管理者が変わったことを伝えていますが、「※指定管理者変更に伴う各種申し込み方法や開館時間の変更はありません」と書いてあります。
リニューアルに伴う休業が数日間だとしても、ごはんを食べようとか、おみやげを買おうと思って訪れた方には(びっくり、残念!)なことですよね。三つ目は、時間が遡りますが、従前の指定管理者、スタッフ、取引先などのケア。指定管理は、他分野にわたり、多くの施設で行われているので、他のケースを見るときにも意識していきたいと思います。
長々と書きましたが、道の駅中条にかかわってきた大勢の方に思いを馳せながら、リニューアルにより、道の駅中条がにぎわい、地域が明るく元気になるよう期待をしています。